Public Welfare Project Researcher
Research results
公費各セグメント障害程度別該当事業運営法人組織の各種研究とテーマ別検証活動を終えて
2011年の東日本大震災、そして両親の介護という個人的経験を通じて、私は社会福祉・高齢者福祉・障害者福祉の現場と深く関わることとなった。
そこで直面したのは、制度や理念が掲げる「支援」や「尊厳」とは乖離したかたちで、人の尊厳や人格が十分に尊重されないまま、惰性的かつ形式的に運用されている現実である。
専門職として現場に立つ人々の中には、無自覚な思考停止や責任回避、さらには人間を制度の「対象」や「数値」として扱う態度が少なからず見受けられた。
私はそこに強い疑義と義憤を覚えたが、それは特定の個人を糾弾するためのものではない。むしろ、そうした振る舞いを生み出してしまう業界構造そのものへの問題意識に他ならない。
この経験を単なる感情的反発として終わらせるのではなく、社会的課題として再定義し、自らが理想とする福祉・支援の在り方を構想し、実装する側に立つ必要がある——その認識が、以後の私の行動原理となった。
その結果、社会事業・社会福祉分野におけるリカレント教育を通じて実学を体系的に学び、「知行合一」を軸に現場での検証と実践を重ねる道を選択するに至っている。
以来、各公費セグメントや障害程度別の支援事業を担う複数の法人(※1)に参画・関与しながら、現場に根ざした実証研究およびテーマ別の検証活動(※2)を継続してきた。
こうした取り組みを通じて、日本の福祉制度が抱える構造的課題や、制度運用の過程で「人間の尊厳」が不可視化される局面を明らかにすると同時に、制度の持続可能性、運用の透明性、そしてサービスの質と人の幸福度を両立させることは、理論上だけでなく実践的にも十分に可能であるという示唆を得ている。
また、行政機関・支援機関・福祉事業所など多様なステークホルダー各位のご協力を得ながら、複数のプロジェクトを計画的に遂行し、一定の成果と示唆を得ることができた。これらの成果は、「福祉の持続可能性」「制度運用の透明性」「サービスの質と人の幸福度の両立」が十分に実現可能であることを示す羅針盤となっている。
※1 社会福祉法人、医療法人社団、非営利法人、営利法人
※2 フィールドワーク、アクションリサーチ、ビジネスエスノグラフィー、企業インテリジェンス
2026年からの挑戦:Welfare と Well-being の統合
2026年を起点として、Welfare(制度としての福祉)と Well-being(生活の質および主体性)を統合する新たな社会モデルの構築に取り組む。
本構想の中核を成すのは、以下の四領域である。
- Neurodiversity
多様な認知特性を前提とした社会デザインの再構築 - Well-being Job
個別性に基づく就労設計およびキャリア構築支援 - AI 技術の社会適用
支援の高度化・効率化・個別最適化を実現する実装モデル - Web3 / DAO
自律分散型ガバナンスと価値循環を可能にする社会基盤
本取り組みは、従来の「制度に人を適応させる」運用モデルから「個々の特性に応じて、働き方や社会参加の形を設計する」モデルへの転換を志向するものである。
その実現に向け、同じ志と専門性を有する新設法人への出資および共同運営を通じて、社会的価値創出と再現可能な事業性を両立させる実装モデルを具現化していく。
次代の福祉・労働・社会基盤は、すでに不可逆的な変化の途上にある。
その変化を一過性の理想論に終わらせることなく、持続可能な形で社会実装すること——それこそが、KENJIN GROUP の責務であり、私自身の挑戦である。
© KENJI NAGAHAMA